カミラ・メサ、来日インタビュー 新作『Ambar』とジャズ・アレンジャーについて語る

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トロンボーン奏者ライアン・ケバリーが率いるグループ『カタルシス』は、NYのスモールアンサンブル・シーンを代表するバンドになりつつある。モダンなジャズ・アンサンブルとフォーク・ミュージックやシンガー・ソングライター系の音楽をかけあわせた有機的なサウンドは、『Sky Blue』前後のマリア・シュナイダーや近年のブラジル/南米のジャズ系ソングライターの音楽と重なる部分が多い。

そのカタルシスの中でも特に重要な役割を果たしているのが、ヴォーカルとギターを担当するカミラ・メサ(チリ出身)だ。今回Untitled Medleyはカタルシスの来日に合わせて彼女にインタビューを申し込み、メサのリーダーアルバムや、ケバリーを初めとするスモールアンサンブルのアレンジャーについて色々と話を聞いてみた。

協力: Office Zoo Inc.

Q: 2016年発表の最新作『Traces』は、これまでの集大成的な作品だと思います。このアルバムで特に好きな曲を教えてくれませんか? またその理由も教えてください。

Camila Meza: 『Traces』はすべての曲に大きな愛着を抱いています。収録曲それぞれが、アルバム全体の物語の中の一章のようなものです。ですが、私自身の音楽性を紹介する時には、一曲目の”Para Volar”を選ぶでしょうね。理由は、解放感を表現しようと考えた曲であり、また自分にとってリアルなことを思い描き、創造するための能力を取り戻すことができた曲だからです。そうすることが、(その時の)私にとって必要だったんです。

◆『Traces』のオープニングトラック”Para Volar”

Q: あなたは2作目以降、毎回チリのシンガー・ソングライター、ビクトル・ハラのカバーを収録していますが、彼のどのような所に惹かれますか。

CM: ビクトル・ハラの音楽は私に母国のチリを思い出させてくれます。また一方で、彼の歌には強い説得力があるという誰もが知る真実も思い出させてくれます。彼の音楽は正義と平和が大きなテーマでした。それと同時に、彼の作品はチリの伝統に深く根ざした音楽的な洞察[explorative]なのです。彼はビオレータ・パラの歩む道に続き、今日ではどちらも、チリのミュージシャンが伝統を追求する上で欠くことのできないリファレンスになっています。

◆ビクトル・ハラ作曲の”Luchin”(『Traces』収録)

Q: 2018年初頭にリリースされる次のアルバム『Ambar』は、日本のファンも楽しみにしていると思います。このアルバムのテーマを教えていただけませんか。

CM: 『Ambar』(スペイン語で琥珀の意)は「癒やしのプロセス」がテーマの作品です。 この作品では、そのプロセスを樹木が琥珀を生み出す様子になぞらえています。樹は琥珀のもとである樹脂を出すことによって、その傷を癒やすからです。『Ambar』は困難を乗り越えるというプロセスを反映した作品であり、また個人としての意識/社会の一員としての意識を訴える作品であり、そして「愛」という解毒剤をこれまでと変わらずに讃える作品になっています。

Q: 弦楽四重奏を導入した『Ambar』で、ストリングスの編曲を担当しているノアム・ワイゼンバーグはどのようなアレンジャーですか。

CM: ノアムのアレンジは本当に大好きです。彼は美しいアイディアを持っていますし、私の曲を理解して受け入れてくれます。私たちは目標を実現させるために、お互いとても協力的に曲を作っています。『Ambar』のアレンジメントは、私たちが曲の細部[detail]に注ぎ込んだ時間や労力、愛情を反映しています。こうした形で制作できたのは今でも驚きです。彼は私の曲を流れるように動かして、マジカルな空間に変身させる素晴らしいテクスチャーとハーモニー・パレットを作ることができます!

◆メサ、ワイゼンバーグが共同編曲したエリオット・スミスの”Waltz No. 1″

Q: 最近リリースされたファビアン・アルマザンの『Alcanza』(レビューはこちら)には、非常に感銘を受けました。あのアルバムのレコーディングはどうでしたか?

CM: 『Alcanza』のレコーディングはとてもやりがいがあって、楽しい体験でした。私はファビアンを、作曲家としてもピアニストとしても本当に尊敬しています。素晴らしすぎて恐ろしくなってしまうくらい(笑)。ファビアンとの活動から多くのことを学んでいます。彼の音楽はいつもチャレンジングで、私をミュージシャンとして成長させてくれます。時には、彼の楽曲のいくつかは難しすぎて演奏できないと思ってしまいます。でもそのたびにファビアンがプッシュしてくれると、突然以前よりも上手く演奏できるようになっているのです!

◆ファビアン・アルマザン『Alcanza』収録の” Vida Absurda y Bella”

Q: ライアン・ケバリー・カタルシスはアンサンブル・ジャズとシンガー・ソングライターやフォーク音楽のマリアージュだと思っています。あなたは彼の楽曲をどう考えていますか?

CM: ライアンとのコラボレーションは間違いなく成長の場になっています。彼のアレンジは本当に秀逸で、トランペットとトロンボーンをブレンドさせた中に、人間の声を入れるというヴォイスの使い方が大好きです。そこでのヴォイスの使い方は、歌詞付きのメロディを歌うという伝統的なやり方だったり、あるいはホーンセクションの一員としてのヴォカリーズ[wordless lines]になっていたりもします。

◆ライアン・ケバリー『Find The Common, Shine A Light』収録の”時代は変る”(ボブ・ディランのカバー)

Q: 最後に演奏家やコラボレーターとしてのライアン・ケバリーとホルヘ・ローダーについて教えてください。

CM: ライアンとホルヘとのトリオでのツアーは全く新しい経験で、私たちは本当に楽しみにしています。私たちはカタルシスのレパートリーを掘り下げ、また新曲の演奏にチャレンジする予定です。これまでのところ、日本に来るのはとてもエキサイティングで幸せな経験です!

公演情報
※リンクをクリックすると、詳細/予約先がご覧になれます。

メンバー: ライアン・ケバリー (tb, keys)、カミラ・メサ (vo, g)、ホルヘ・ローダー (b)
10月20日(金) 静岡市 ライフタイム
10月22日(日) 新宿 ピットイン
10月23日(月) 京都市 ル・クラブジャズ
10月24日(火) 京都市 ル・クラブジャズ
10月26日(木) 名古屋市 スターアイズ
10月27日(金) 新宿 ジャズスポットJ / 慶應義塾大学ライトミュージックソサイエティ with ライアン・ケバリー(メサ、ローダーの出演はありません)
10月28日(土) 武蔵野市 スイングホール 
10月29日(日) 南青山 ボディ&ソウル