ベン・ウェンデル / Ben Wendel

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自分の言葉を発見する旅は、今まで通過してきた自分の全ての影響源を率直に認めるということに他ならない。

ベン・ウェンデルはカナダ出身、アメリカ、ニューヨーク在住のサックス/バスーン奏者、作曲家。自己のバンド/リーダー作に加えて、ロサンゼルスの代表的なジャムバンド「ニーボディ」、サックス/ベース/ドラム・トリオ「ACT」のコリーダーとして活動している。ティグラン・ハマシアン、テイラー・アイグスティ、デイデラスなどサイドマン参加作品も多い。

バイオグラフィー

デビューまで

1976年2月20日カナダ、バンクーバー生まれ。アメリカ、ロサンゼルスのサンタモニカで育つ。母はオペラ歌手、叔母はピアニスト、祖母はフルート奏者の音楽一家に生まれる。5歳からピアノを習い、10歳でアルトサックスを始める。

14歳の時、テラス・マーティン、アルフレッド・ダーリントン(デイデラス)らクラスメイトとともにバンドを結成し、ジャズ・スタンダードを演奏していた。(2016, The New York Times)

一方で、サンタモニカ高校の音楽科に入学後はもっぱらクラシック音楽の世界に身を置いていた。楽器はウィンド・アンサンブルとマーチング・バンドでサックスを、後にオーケストラでバスーンを演奏する。当時はシンフォニー・ミュージック、ヒップホップ・ラジオ、13歳の時に隣人がくれたジャズ・レコードを主に聴いていた。

デビュー後

ニューヨーク州のイーストマン音楽大学を卒業後はロサンゼルスに戻り、ジャムバンド、ニーボディを結成する。メンバーのシェイン・エンズリー(tp)、アダム・ベンジャミン(key)、カーヴェー・ラステガー(b)はイーストマン音楽大学時代からの友人、ネイト・ウッド(ds)は帰郷後に出会ったカリフォルニア芸術大学の卒業生だった。2005年にデイヴ・ダグラスのグリーンリーフ・ミュージックから『Kneebody』をリリース。以降スタジオ・アルバムに加えて、ライヴ・アルバムやテオ・ブレックマン、ニーデラスなどとのコラボレート作品を発表している。

リーダー作は2009年にニーボディのメンバーやティグラン・ハマシアンらを加えた『Simple Song』でデビュー。2010年頃、より多くのツアーを行うため、ニューヨークのブルックリンに移住する。2016年には、ジョン・コルトレーン、オースティン・ペラルタ、アーマッド・ジャマル、クラシックなどウェンデルが影響を受けてきたミュージシャン/音楽をトリビュートした作品『What We Bring』をリリースする。

  • 大学卒業後、テラス・マーティンの紹介によりビリー・ヒギンズの「ワールドステージ・カフェ」で演奏したり、スヌープ・ドッグのツアーに1ヶ月間参加している。(2015 , Musicoff / 2016, CD Journal)
  • 2015年1月から12月に渡って12曲のデュオ演奏シリーズ『Seasons』をYou Tubeで発表している(専用ページ)。デュオ相手に選ばれたミュージシャンはテイラー・アイグスティ(1月)、ジョシュア・レッドマン(2月)、マット・ブリュワー(3月)、エリック・ハーランド(4月)、シャイ・マエストロ(5月)、ルシアーナ・ソウザ(6月)、ジュリアン・ラージ(7月)、マーク・ターナー(8月)、ジェフ・バラード(9月)、ギラッド・ヘクセルマン(10月)、アーロン・パークス(11月)、アンブロース・アキンムシーレ(12月)。チャイコフスキーの12曲のピアノ作品『四季』に触発されている。

作品

リーダー作

2009 – Simple Song
2012 – Frame
2016 – What We Bring

コラボレーション

2009 – ACT
2013 – Small Constructions
2015 – ACT Ⅱ

ニーボディ作品サイドマン作品を見る

発言

音楽観

どのように自分自身の個性を獲得したかと聞かれて
大きな変化はキャリアの開始時だった。当時、僕は個性的でパーソナルなボイスを獲得するためには、自分が今まで通って来たボイスを書き換え(edit)、否定する必要があると思ったんだ。今まではソロでケニー・ギャレットやマイケル・ブレッカー風のラインを演奏していたけど、それをしないように自分に言い聞かせた。「それは彼らのボイスであり、お前のものではない」と。ご想像のように、この手の『否定の哲学』を実践しながら演奏するのは非常に難しいことだった(※)。

ある時点で、僕はその逆をやることに決めた。今までの考えは忘れて、ただ自由に演奏し、それがどこから来たかを判断しないようにしたんだ。(略)たとえ特定のアーティストのサウンドに挑戦して同じ言葉を使ったとしても、同じ様なサウンドにはならないだろうと考えた。皮肉なことに、僕がそのような考え方を念頭に置いて演奏しはじめると、それと時を同じくして人々が僕のサウンドがユニークだと言ってくれるようになった。

基本的に、自分の言葉を発見する旅は、今まで通過してきた自分の全ての影響源を率直に認めるということに他ならない。(略)[そうすると、]もはや通過してきたものがオリジナルのように聴こえることは無くなるんだ。(2016, The Jazz Gospel; At some point…the original source anymore.)

※おそらく、マイケル・ブレッカーの影響を取り除こうとする(=否定する)ことで、逆に「典型的なブレッカーの影響から逃れようとするブレッカー・フォロワー」になってしまう、ということ。

  • 自分のアルバム、ニーボディ、シーズンズ・プロジェクトのために書いた曲は、どれも共演者や影響源のような特定のミュージシャンを想定して書いており、ストラクチャーの設定はその次。また作曲中はジャンルの組み合わせや融合は考えていない。(2016, The Jazz Gospel)
  • ニーボディではジョニ・ミッチェル”Blue”のような有名曲よりも、音楽家以外にはあまり知られていないアーティスト/楽曲を率先してカバーしている。過去にはチャールズ・アイヴズ、トン・ゼー、ジュディ・シルなどを取り上げている。(2013, City Pages)

好きな音楽

好きな音楽家・作品
時期 ジャンル 音楽家・作品 出典
10代 ヒップホップ ア・トライブ・コールド・クエスト、デ・ラ・ソウル、N.W.A.、スヌープ・ドッグ、ドクター・ドレ『The Chronic』 all music
2013, City Pages
ジャズ チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン
クラシック

エレクトロニック・ミュージック

不明
2011 最近のお気に入り レディオヘッド、ルイス・コール、ノワー、ジョアンナ・ニューサム、スクリャービンのピアノ曲集、ゲタチュウ・メクリヤ、Taurus 2011, Best. Saxophone. Website. Ever.
2013 フライング・ロータス 『Until The Quiet Comes』
コリン・ステットソン 『New History Warfare Vol. 2』
ジェイク・ヘギー 『白鯨』
エルヴィス・コステロ 『The Juliet Letters』
『The Best of Louis Armstrong and Ella Fitzgerald』
2013, Jazz Speaks
アトムス・フォー・ピース、ケンドリック・ラマー、フライング・ロータス、ミシェル・ンデゲオチェロ、デイダラス、エイフェックス・ツイン 2013, City Pages
2016 ローラ・ムビューラ 『The Dreaming Room』、レディオヘッド 『A Moon Shaped Pool』、オスカー・ピーターソン 『Trio Plus One』 2015 , Musicoff
  • リスナーにおすすめしたい作品は、チャールス・ミンガス『Black Sint and the Sinner Lady』、フライング・ロータス『Untill the Quiet Comes』、マイルズ・デイヴィス『Qiuet Nights』、ネイト・ウッド『Fall』、ワイオーク 『Shriek』(2015 , Musicoff)
  • 最近のお気に入りの本はMason Currey “Daily Rituals”、Steven Pressfield “The War of Art”、Aaron Copland “What to Listen for in Music”(2015 , Musicoff)

楽器

2011年時のセットアップ(2011, Best. Saxophone. Website. Ever.)

本体 マウスピース/ボーカル リード
テナー Super Balanced Action Otto Link Reso Chamber 6* Rico Jazz Select 3m Filed
ソプラノ Yamaha YSS-62 (old model) Selmer Super Session G Vandoren Classic 2 1/2
ファゴット Fox 220 Heckel Bocal 2

出典

雑誌

(2016) CD Journal by 原 雅明

ウェブサイト

(2011) Best. Saxophone. Website. Ever. by Doron Orenstein
(2013) Jazz Speaks by Rafiq
(2013) City Pages by Lily Troia
(2015 ) Musicoff by Dario Trapani
(2016) The Jazz Gospel by Nick Brown
(2016) The New York Times by Nate Chinen

おすすめ作品