目次
バイオグラフィー
デビューまで
1978年4月6日、テキサス州ヒューストンに生まれる。7歳から2年間はドラムを練習していたが、ピアニスト/シンガーである母親の影響でピアノを始め、12歳から教会で演奏するようになる。教会ではゴスペルやR&B、ブルースなどにに触れ、ラジオでも色々な曲を聴いていた。ジャズで最初に影響を受けたのはオスカー・ピーターソンとチック・コリア。その後ハービー・ハンコック、マッコイ・タイナー、キース・ジャレット、マルグリュー・ミラーからも影響を受ける。
高校はヒューストンPVA高校(HSPVA)を卒業し、その後マンハッタンのニュースクール大学に入学。在学中、クリスチャン・マクブライド、ラッセル・マローン、ケニー・ギャレットなどと共演。
在学中R&Bシンガー、ビラルと出会い彼のアルバム制作やツアーに参加することによって、様々なR&B/ヒップホップのミュージシャンと関わるようになる。その時の主なミュージシャンはJディラ、コモン、モス・デフ、エリカ・バドゥ、アリ・シャヒード・ムハマド、Qティップ、クエストラヴで、Jディラとはビラルの『1st Born Second』での楽曲の共作、Qティップとは彼のアルバム『Renaissanse』への参加、コモンとは『Like Water For Chocolate』のツアーメンバーの紹介(その中にはマーク・コレンバーグもいた)という形で関わった。Jディラとは1999年から音楽的な情報交換をする仲で、彼が亡くなる前からカヴァー曲を演奏していた。
デビュー以降
2003年、FSNTレーベルよりデビュー・アルバム『Mood』をリリース。ここにはニュースクールで共に学んだマイク・モレノ、マーカス・ストリックランド、ビラルも参加する。
2005年ブルーノートと契約し、ピアノトリオを基調にビラル、マーク・ターナーをゲストに迎えた『Canvas』を発表。続いて2007年、よりヒップホップに接近したピアノ・トリオ『In My Element』をリリース。ここではレディオヘッドのカヴァーや、Jディラへのトリビュート曲も演奏。
00年代なかば、チャールズ・ヘインズ(ds)、マーク・ケリー(b)、ダレン・バレット(tp)、ケイシー・ベンジャミン(sax)とともにジャズ/R&B/ヒップホップ・バンド「ロバート・グラスパー・エクスペリメント」を結成。その後モス・デフのレコーディングで共演したことがきっかけで、メンバーをグラスパーとベンジャミン、デリック・ホッジ(b)、クリス・デイヴ(ds)の四人編成に変え、本格的に始動する。(2012, CD Journal)
2009年、アコースティックジャズを演奏するトリオと、エレクトロニックな要素も取り入れたエクスペリメントの2グループを1枚にまとめた『Double-Booked』を発表。後者のバンドにはビラル、モス・デフが参加した。
2012年から2013年にかけて、エクスペリメントを中心にビラル、レイラ・ハサウェイ、エリカ・バドゥ、ジル・スコット、コモン、ンデゲオチェロなど様々なR&B/ヒップホップ界のシンガーを加えた『Black Radio』、『Black Radio 2』を連続して発表。『Black Radio』は普段からグラスパーと交流のあるシンガー、『Black Radio 2』はそれに加え面識はなくとも共演したかったシンガーを迎えている。
以後、ブラック・ミュージックとジャズの世界を行き来しながら活動を続けている。
作品
リーダー作
2004 – Mood
2005 – Canvas
2007 – In My Element
2009 – Double-Booked
2012 – Black Radio
2013 – Black Radio 2
2015 – Everything’s Beautiful
2015 – Covered
2016 – Art Science
コラボレーション
2017 – Blue Note All-Stars / Our Point of View
2018 – August Greene / August Greene
2018 – R+R=NOW / Collagically Speaking
発言
音楽観
準備中
好きな音楽
好きなマイルス・デイヴィス作品
『Kind of Blue』、 『Miles Smiles』、 『Nefertiti』
(2015, Blue Note Tokyo)
好きなJディラのビート
“Confused French Horns”、”Still Shining”、”The Look of Love”、”Thelonious”、”Stakes Is High”
(2016, Wax Poetics Japan)
(Black Radioと同じく)ピアノ/ヴォーカルをフィーチャーしたアルバムで印象に残る作品
オスカー・ピーターソン、エラ・フィッツジェラルド『At the Opera House』
チック・コリア、ボビー・マクファーリン『Play 』
(2012.3, ジャズライフ)
好きな音楽 | |||
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時期 | ジャンル | 音楽家・作品 | 出典 |
10代はじめ | ゴスペル R&B ラジオ・ミュージック |
不明 | 2009.10, Jazz Life |
12歳 | ロック | ニルヴァーナ | 2012.3, Jazz Life |
10代① | ジャズ・ピアノ | オスカー・ピーターソン チック・コリア |
2009.10, Jazz Life |
10代② | ハービー・ハンコック マッコイ・タイナー キース・ジャレット マルグリュー・ミラー |
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1990年代 | ヒップホップ | Jディラ ピート・ロック DJプレミア ア・トライブコールド・クエスト |
2012, bmr |
2010年代初頭 | R&B | リトル・ドラゴン | 2011.2, CD Journal |
ヒップホップ | ブラック・ミルク | ||
アフロビート | フェラ・クティ | 2012.3, Jazz Life | |
2014年 | ブラック・ミュージック | サンダーキャット | 2014, Billboard JAPAN |
2016年 | ハウス・ミュージック | 不明 | 2016, Wax Poetics Japan |
ヒップホップ | アンダーソン・パック ドクター・ドレ ケンドリック・ラマー |
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不明 | SSW | ホセ・ゴンザレス | 2011.2, CD Journal |
ロック | レディオヘッド |
影響源
ハービー・ハンコックについて
ハービーは憧れのミュージシャンだ。彼の音楽からは多くのことを学んでいる。”Dolphin Dance” (Maiden Voyage)、”Tell Me A Bedtime Story” (Fat Albert Rotunda)、”Sly” (Head Hunters)といった曲が好きで、アルバムとしては『Sunlight 』が一番好きだ。彼はストレートなジャズも演奏するし、ファンク・ミュージックやヒップホップも演奏する。あらゆることにトライし、自分自身の音楽を明確に表現しているという点でとても尊敬している。僕の母親はそのまま僕の音楽の母でもあったわけだけど、僕にとって音楽の父に当たるのがハービーだ。(2009.3, Jazz Life)
ジョン・コルトレーンについて
コルトレーンは、精神性を最も重んじたアーティストとして尊敬している。音楽的にテクニックやハーモニーが素晴らしいのはもちろんのことだけど、彼の音楽で最も重要なのは精神性だ。それから、彼の率いたバンドはジャズ史上で最も優れたバンドのひとつ。彼が参加していたマイルス・デイヴィス・クインテットや、エルヴィン・ジョーンズを迎えたクァルテットも素晴らしいけれど、僕が一番好きなのはベーシストがふたり加わっている編成のバンドだ。彼は常に新しいサウンドを求めてジャズの表現領域を押し広げてくれたパイオニア。だから僕もこの曲(Afro Blue)をさらに新しいサウンドにして継承していこうと考えた。
(2012.3, Jazz Life)
他のミュージシャンについて
クリス・デイヴは、トニー・ウィリアムス以降に現れたドラマーの中で最も革新的で創造的なドラマーだ。僕は彼のことを”Tony Williams Now”って呼んでいるんだ(笑)。彼のドラムはいつも新しい何かを生み出してくれる。だから彼のスタイルやセッティングを真似ようとするドラマーも多いけど、誰も彼のような革新的な意識を持つことはできない。そこが彼の最も優れた点だ。
フロントを担当するケイシー・ベンジャミンも独特のスタイルを持った素晴らしいミュージシャン。テナー、アルト、ソプラノの3種類のサックスとフルート、さらにはヴォコーダーも演奏するけれど、そのどれもがアメイジング。その上に彼はキーボードの演奏もハイ・レヴェルときている。僕は以前にQティップのバンドにも参加していたんだけど、徐々に自分のバンド活動の方が忙しくなって参加できなくなってきたので、そこのキーボード・プレイヤーの座をケイシーに引き継いでもらったくらいだ。
デリック・ホッジは僕のお気に入りのベーシスト。スペースを作り出すのが上手いのがその理由だ。たいていのベーシストは多くの音を出したがるんだけど、僕はベーシストにあまりたくさん音を出し過ぎてほしくないんだ。僕が自由に演奏する妨げになってしまうから。僕がベーシストに求めるのはたくさんの音を出すことではなく、バンドをボトムからしっかり支えてグルーヴさせることだ。デリックは出すべき音をしっかり見極めた上で演奏してくれる。作曲やオーケストレーションの知識も卓越しているし、とても才能溢れるミュージシャンだ。(2012.3, Jazz Life)
出典
雑誌
(2009.10) Jazz Life by 早田和音
(2012.3) Jazz Lifeby 早田和音
(2012.3) CD Journal by 原雅明
ウェブサイト
(2012) bmr by Dashaun Simmons
(2015) Blue Note Tokyo by 神舘 和典
(2016) Wax Poetics Japan