ベッカ・スティーヴンス / Becca Stevens

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ベッカ・スティーヴンスはアメリカ在住のジャズ系シンガー・ソングライター、マルチ・インストゥルメイタリスト。ジャズやクラシック、ブルーグラス、ジョニ・ミッチェルのようなシンガー・ソングライターをルーツに持った音楽性が特徴。作曲では他にもロックやエレクトリック・ミュージックなどの多彩なテクスチャを使いこなす。レベッカ・マーティングレッチェン・パーラトと共に3ヴォーカル・ユニット「ティレリー」でも活動している。

バイオグラフィー

デビューまで

1984年6月14日ノース・カロライナ州ウィントン・セーラムの音楽一家に生まれる。母は歌手、父は作曲家兼歌手で、幼少の頃から母親のヴォーカル、父親の作曲した作品(オペラ、交響曲、ギター、バンジョー、弦楽四重奏団の曲、など)を聴きながら育つ。その他にもダンス、演技に親しんでいた。

11歳から父に習い、ギターやピアノを演奏し始める。作曲は一人でギターを練習している時に思いついたメロディを楽曲にするのが始まりだった。(2016, Soul and Jazz and Funk)

高校はノース・カロライナ芸術学校に進学し、クラシック・ギターを学ぶ。その後2002年にニューヨークに移住し、ニュースクールのジャズ・ヴォーカルと作曲科を専攻、2007年に卒業する。ニュースクールでは2005年以降彼女のバンド・メンバーになるリアム・ロビンソン(p,keys)、クリス・トルディーニ (b) と出会う。ジョーダン・パールソン (ds)も、その数年後にバンドに参加する。

師事歴
時期 学校・機関 教育家 主な内容
10代半ば ノースカロライナ芸術学校 Joe Pecoraro
Gerald Klickstein(2016,jmclaincallahan)
クラシック・ギター
20代前半 ニュースクール 不明 ジャズ・ヴォーカル

デビュー以降

2008年、ジャズ、フォーク、クラシックに影響されたシンガー・ソングライター作品『Tea Bye Sea』でデビュー。その後、2011年には前作をより洗練させた『Weightless』(2011)をリリースする(アニマル・コレクティヴ、アイアン・アンド・ワインなどをカバー)。

さらに2015年には前作と同じバンドで、インディー・ロックやエレクトリック・ミュージック的なサウンド、質感に転換した『Perfect Animal』をリリース(こちらではフランク・オーシャンやアッシャーなどをカバー)。

翌、2016年にレベッカ・マーティン、グレッチェン・パーラトと2010年に結成した共同ユニット「ティレリー」の第1作を発表する。2017年にはこれまでの「ベッカ・スティーヴンズ・バンド」名義ではなくソロ名義で4枚目のアルバム『Regina』を発表。エリザベス1世を始めとした古今の「女王」をテーマにしたスケール感ある音楽を披露する。

  • サイドマンとしては、トラヴィス・サリヴァンズ・ビョーケストラ、テイラー・アイグスティ(2010)、エスペランサ・スポルディング(2012)、アンブローズ・アキンムシーレ(2014)に参加している。

作品

リーダー作

2008 – Tea Bye Sea
2011 – Weightless
2015 – Perfect Animal
2017 – Regina

コラボレーション

ティレリー(w.レベッカ・マーティン、グレッチェン・パーラト)
2016 – Tillery

発言

音楽観

Qあなたの音楽をまだ聴いていない人のために、アーティストとして自分自身をどのように描写しますか?
「ブルックリンをベースにしたシンガー、作曲家、マルチ・インストゥルメイタリスト、バンドリーダー。ジャズ、クラシック、ポップス、R&B、ワールドミュージックなど広範囲に渡る音楽を吸収し、誠実さ、独創性を大切にし、音楽を通じて真実を表現する」(2016, Female First)

  • カバー曲を収録する理由のひとつは、自作曲だけ収録すると曲を知らないリスナーはアルバムを重く感じてしまう傾向にあるが、カバー曲があれば自分のサウンドにリスナーを招待する役割を担ってくれるから。オリジナルの完全性を壊すことなく、楽曲を独自のストーリー、ヴォイスで歌うことを目標にしている。(2016, London Calling)
  • 同時代で称賛したいミュージシャンは、 何百人もいるので難しいがあえて挙げるなら グレッチェン・パーラト、エスペランサ・スポルディング、レベッカ・マーティン、ブラッド・メルドー、アンブローズ・アキンムシーレ。(2013, Songfacts)
  • バンドメンバーに曲を伝える時は、譜面ではなくヴォーカル、ギター、ウーリッツァ・ピアノを多重録音したデモ音源を渡している。(2014.11, CDジャーナル)

好きな音楽

好きな音楽家・作品
時期 音楽家・作品 ジャンル
10代 ブルーグラス、アイリッシュ・フォーク (2012,LondonJazz) フォーク・ミュージック
レディオヘッド (2012,LondonJazz) ロック
クラシック、オペラ、現代音楽 (2012,LondonJazz)
ポーラ・アブドゥル、ジャネット・ジャクソン、マイケル・ジャクソン、アニー・レノックス (2012,LondonJazz) ポップス
M.C.ハマー (2012,LondonJazz) ヒップホップ
トーリ・エイモス、ビョーク、ジョニ・ミッチェル (2012,LondonJazz) シンガー・ソングライター
2010年代前半 リトル・ドラゴン、ファザー・ジョン・ミスティ、フランク・オーシャン、ジェイムズ・ブレイク、ブラッド・ブラザーズ、ビーチ・ハウス、ベアー・イン・ヘヴン、ランド・オブ・トーク、アユブ・オガダ、ワイ・オーク、ケイト・ブッシュ (2012,LondonJazz) ポピュラーミュージック
不明 不明 西アフリカ音楽 (2013,The Telegraph)

影響源

Q: もし他のアーティストの曲を一曲だけあげるなら何ですか?またそれは何故でしょう。
「ジョニ・ミッチェルの”A Case Of You”。理由は非の打ち所がないから。私は彼女がソングライティングの女神だと思っていますし、それはこれからも決して変わりません。初めて”A Case Of You”を聴いたとき、今までの人生で聴いた作品の中で最高の曲だと思いました。私もあの曲のような歌を書きたいです」(2016, Female First)

  • スティーヴ・ライヒからもインスピレーションを受ける。『Weightless』の”Traveler’s Blessing”はチャランゴでライヒ風の8分音符のパルスを演奏している。 (2014.11, CDジャーナル)

出典

雑誌

(2014.11) CDジャーナル by 柳樂光隆

ウェブサイト

(2012) LondonJazz by Rosalie Genay
(2013) The Telegraph
(2016) Female First by Daniel Falconer
(2016) Soul and Jazz and Funk by Charles Waring
(2016) The Man Van Blog by J. McLain Callahan
(2016) London Calling by Tom Faber