ジェイソン・モランはアメリカ在住のジャズ・ピアニスト、作曲家、レーベルオーナー。
バイオグラフィー
デビューまで
1975年1月21日テキサス州ヒューストンに生まれる。父親は投資銀行家、母親は教師だった。6歳からピアノを始める。幼いころは母親によく地元のシンフォニーや博物館、美術館に連れて行ってもらい、父親の影響で自宅にあるモータウンからクラシック、アヴァンギャルド・ジャズなどのレコードに触れながら育つ。ただし少年時代はピアノよりもヒップホップやスケートボード・カルチャーに熱中していた。しかし13歳の時、セロニアス・モンクの”′Round Midnight”を聴いたことで、ジャズに興味を持つようになる。
高校はヒューストン・パフォーミング・アンド・アーツに入学。同校はモラン以降、ロバート・グラスパーやケンドリック・スコット、エリック・ハーランドなど数々のミュージシャンを輩出している。その後NYに渡りマンハッタン音楽院に入学。学生時代は後に『New Directions』で共演するステフォン・ハリス、マーク・シムとルームシェアをしていた。
時期 | 学校・機関 | 教育家 | 主な内容 |
---|---|---|---|
6歳~ | スズキ・メソード | Yelena Kurinet | クラシックピアノ |
1990-93 | ヒューストンPVA高校 | Robert Morgan | ジャズ |
1993-97 | マンハッタン音楽院 | ジャキ・バイヤード | フーガの作曲 |
1998年 | ケネディ・センター | ベティ・カーター | 作曲など |
20代 | プライベートレッスン | アンドリュー・ヒル | 不明 |
ムハル・リチャード・エイブラムス |
デビュー後
マンハッタン音楽院最後の年度である1997年、クラスメイトのエリック・ハーランドの紹介でMベースシーンで主導的な役割を果たしていたグレッグ・オズビーのヨーロッパツアーに誘われる。ここでの演奏が気に入られ、オズビーのバンドに参加、『Further Ado』を録音する。またオズビーに前衛系のベテランピアニスト、ムハル・リチャード・エイブラムスとアンドリュー・ヒルを紹介される。オズビー・バンドでの演奏によって当時彼が所属していたブルーノートレーベルと契約。1999年に『Soundtrack to Human Motion』でデビューする。
グレッグ・オズビー『New Directions』でも共演したベースのタルス・マティーン、ドラムのナシート・ウェイツとともにピアノトリオ「バンドワゴン」を結成。このメンバーで『Facing Left』(2000)『Black Stars』(2001。サム・リヴァーズ参加)『The Bandwagon』(2003)をリリースし自己のスタイルを確立していく。
2000年代後半はバンドワゴンに追加メンバーを加え、ブルースにオマージュした作品『Same Mother』と美術館からの委託作品を集めた『Artist in Residence』を発表。ストライド・ピアニスト、ファッツ・ウォーラーをトリビュートした2014年『All Rise』リリース後、ブルーノートレーベルを離れプライベートレーベル、イエス・レコーズを設立。以降Bandcampを中心にライブ、スタジオ作品を発表している。
- 配偶者はクラシックのソプラノ歌手、アリシア・ホール。たびたび夫婦で共演する他、『Bangs』参加のメアリー・ハルヴァーソンをモランに紹介したのも彼女。
- サイドマンとしては先述のグレッグ・オズビーのグループや2007年から参加しているチャールス・ロイド・カルテットでの活動が有名。他にもバンキー・グリーン、ステフォン・ハリス、ラルフ・アレッシ、デイヴ・ホランドなどの作品、ツアーに加わっている。
- 教育家としても有名で、これまでにジョン・エスクリート、ファビアン・アルマザン、サム・ハリスなどを輩出している。2002年からマンハッタン音楽院、2004年からニュースクール大学、2010年からニューイングランド音楽院、2011年からケネディ・センターで講師を務める。
- 20世紀美術にインスパイアされた作品をたびたび作っている。“JAMO Meets SAMO”、“Gangsterism”シリーズはジャン=ミシェル・バスキアに、『Facing Left』はエゴン・シーレ「左向きの人物画」シリーズに、『Black Stars』はロバート・ラウシェンバーグ「ブラック・ペインティング」に影響されている。また、『MASS』(2017)はエチオピア生まれの抽象派画家、ジュリー・メルト(Julie Mehretu)のライヴ・ペインティングとのコラボレーション作品。
作品
リーダー作
ザ・バンドワゴン(+追加メンバー)
2000 – Facing Left
2001 – Black Stars
2003 – The Bandwagon: Live at the Village Vanguard
2005 – Same Mother
2006 – Artist in Residence
2010 – Ten
2017 – Thanksgiving at The Vanguard
ソロピアノ
2002 – Modernistic
2016 – The Armory Concert
その他
1999 – Soundtrack to Human Motion
2014 – All Rise: A Joyful Elegy for Fats Waller
2017 – BANGS
2017 – MASS {Howl, eon}
発言
音楽観
準備中
好きな音楽
好きなピアニスト
イーサン・アイヴァーソンとのインタビューで影響されたピアニストと好きな作品を挙げている。アンドリュー・ヒルは『Smokestack』、『Pax』、ピアノソロ作品(特にオフィシャル・サイトで公開されている2003年ロンドンでの演奏)、また作曲家としてのヒルなら『Point of Departure』とボビー・ハッチャーソンの『Dialogue』(半分がヒル作曲)。ジャキ・バイアードは作曲とピアノソロから『Out Front』。ハービー・ニコルズはソロピアノ。セシル・テイラーはブルーノート・レーベルの作品と初期の『Love for Sale』。ジェリ・アレンは『Etudes』、『Homegrown』、『The Printmakers』で、生徒にも聴くことを推奨している。(2006, Do the M@th)
カバー曲
現代のミュージシャンの中でもとりわけ多方面の作曲家のカバーをしている。シンガー・ソングライターではビョーク、ヒップホップではアフリカ・バンバータ、クラシック/現代音楽ではシューマン、ブラームス、ラヴェル、プロコフィエフ、レナード・バーンスタイン、コンロン・ナンカロウ、映画音楽では佐藤勝、カーマイン・コッポラを取り上げている。
影響源
準備中
出典
ウェブサイト
(2006) DO THE M@TH by Ethan Iverson