アンドリュー・ヒル / Andrew Hill

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アンドリュー・ヒルは1960年代から2000年代にかけてアメリカを拠点に活躍していたジャズ・ピアニスト、作曲家。ブルーノートやスティープルチェイス・レーベルなどから発表した作品で知られている。変拍子や不規則なリズムフィギュアの多用、編成の大小を問わない挑戦的な作曲法はヴィジェイ・アイヤージェイソン・モランダビィ・ビレージェスなど後続の演奏家・作曲家に大きな影響を及ぼしている。

バイオグラフィー

生い立ち

1931年6月30日、イリノイ州シカゴに生まれる。13歳でピアノを始め、ジャズピアニストのアール・ハインズに影響を受ける。

10代の頃はリズム&ブルースやモダンジャズのグループで腕を磨き、音楽理論をシカゴ研究開発大学(University of Chicago Experimental School)で学んだ。ジャズ作曲家のビル・ルッソの紹介で、クラシック作曲家パウル・ヒンデミットのプライベートレッスンを1952年まで受ける。

1960年代

1953年にポール・ウィリアムズのバンドでピアニスト、バリトンサックス奏者としてキャリアをスタートさせる。1961年にR&Bシンガー、ダイナ・ワシントンの伴奏者として訪れたのがきっかけで、ニューヨークに拠点を移す。

その後すぐにロサンゼルスに移住し、ローランド・カークのバンドに入る。同地でオルガニストでもある最初の妻と1963年に結婚。同年ニューヨークに戻り、ブルーノート・レーベルと契約する。

ブルーノートではエリック・ドルフィー、ボビー・ハッチャーソン、ジョー・ヘンダーソン、エルヴィン・ジョーンズ、トニー・ウィリアムズといった同時代の重要なミュージシャンを起用してアルバム制作を開始。ブルーノートとの契約は1970年まで続き、発掘された録音を含めて13枚のスタジオ・アルバムを制作する。1963年11月から1964年6月にかけて行われた5枚分のアルバム録音は、レーベルオーナー、アルフレッド・ライオンがヒルの音楽に肩入れしていたエピソードとしてよく知られている。

1970年代以降(準備中)

ブルーノート・レーベルを離れた後、再び西海岸に移りカリフォルニア州、オレゴン州で教鞭をとる。またウェズリアン大学、ミシガン大学、トロント大学、ハーバード大学、ベニントン大学でも演習やワークショップを行い、ニューヨークではジャズ・サマー・ジャズキャンプを行う団体を設立する。

1970年以降の所属レーベルは、1970年代はスティープル・チェイス/SteepleChase、イースト・ウィンド/East Wind、フリーダム/Freedom、1980年代はソウル・ノート/Soul Noteに在籍し、ブルーノートが復活すると再び同レーベルで3作品を残す。キャリア後期はパルメット/Palmettoにも所属していた。

1992年にオレゴン州ポートランドのダンサー/教育者と結婚し、1995年にニューヨークに3度目の移住をする。ヒルの最後の演奏は2007年3月29日、ニューヨークのトリニティ教会で行った公演だった。同年4月20日、ジャージー・シティの自宅で肺がんのため75年の生涯に幕を下ろす。

作品

スモールコンボ(3~7人)

1956 – So in Love (ピアノトリオ)

1963 – Black Fire
1963 – Smoke Stack
1964 – Andrew
1964 – Judgment!
1964 – Point of Departure
1965 – Compulsion
1965 – Pax (2006)
1966 – Change (2007)
1968 – Dance with Death (1980)
1968 – Grass Roots

1974 – Invitation (ピアノトリオ)
1975 – Blue Black
1975 – Divine Revelation
1975 – Spiral
1976 – Nefertiti (ピアノトリオ)

1980 – Strange Serenade (ピアノトリオ)
1986 – Shades
1989 – Eternal Spirit

1990 – But Not Farewell
1999 – Dusk

2006 – Time Lines

ラージコンボ(8人以上)

1965 – One for One (1975)
1969 – Lift Every Voice
1969 – Passing Ships (2003)

2002 – A Beautiful Day
2003 – The Day the World Stood Still

ピアノソロ

1975 – Hommage
1975 – Live at Montreux
1979 – From California with Love

1980 – Faces of Hope
1986 – Verona Rag

1998 – Les Trinitaires

ピアノ&ドラム・デュオ

1993 – Dreams Come True (2008)