ウォルフガング・ムースピールはオーストリア出身のギタリスト、作曲家、レーベルオーナー。
バイオグラフィー
1965年3月2日オーストリア、シュタイアーマルク州生まれ。6歳でヴァイオリンをはじめ、13歳からギターを手にする。即興演奏をして遊んでいたことがきっかけでジャズを聴き始め、その後グラーツでクラシックとジャズを学ぶ。少年時代はジャズの他にルネッサンス・コーラルやアルバイン・フォークなどを聴いていた。
1986年に渡米し、ボストンのニューイングランド音楽院でミック・グッドリックに師事。その後バークリー音楽大学に進学し、ゲイリー・バートン・グループに2年間参加し注目を集める(この時のベーシストが、後にたびたび共演するラリー・グレナディアだった)。バートンのグループで活動した後は、ニューヨークに渡り1989年に初リーダー作『Timezone』をレコーディング。90年代の大半はニューヨークで活動し、デイヴ・リーブマンやポール・モチアン、ゲイリー・ピーコックらベテランと共演する。
2002年にはオーストリアに帰国し、活動の拠点をヨーロッパに移す。00年代はドラムにブライアン・ブレイドを迎えたフォーキーなサウンドのアルバムをコンスタントに発表する(2001年『Real Book Stories』、2004年『Air, Love and Vitamins』、2007年『Friendly Travelers』など)。また、ノルウェーのシンガー・ソングライター、レベッカ・バッケンと共同制作した2000年『Daily Mirror』や、チュニジアのウード奏者ダファー・ヨーゼフを迎えた2007年『Glow』、サックス/ベース/ギター編成の2011年『Drumfree』など、90年代以上に幅広く充実した活動を見せる。
2014年にはECMと契約。2014年にラリー・グレナディアとブライアン・ブレイドとのギタートリオ『Driftwood』を、2016年に前作のメンバーにブラッド・メルドーとアンブロース・アキンムシーレを加えた『Rising Grace』をリリースする。
- 2000年にセルフレーベル、マテリアル・レコーズを設立し、自身の作品や若手ミュージシャンの作品をリリースしている。
- 2005年からはスイスのバーゼル音楽院の教授として教鞭をとっている。
作品
リーダー作
1989 – Timezones
1990 – The Promise
1993 – Muthspiel / Peacock / Muthspiel / Motian
1993 – Black and Blue
1993 – In and Out
1995 – Loaded, Like New
1996 – Perspective
2001 – Real Book Stories
2002 – Continental Call
2003 – That’s All Daisy Needs
2004 – Air, Love and Vitamins
2004 – Solo
2005 – Bright Side
2007 – Glow
2008 – Earth Mountain
2011 – Drumfree
2014 – Driftwood
2016 – Rising Grace
2018 – Where the River Goes
シンガー・ソングライター作品
2012 – Vienna, Naked
2015 – Vienna, World
コラボレーション
w.クリスチャン・ムースピール
1985 – Duo Due Schneetanz
1987 – Duo Due Focus It
1989 – Duo Due Tre
1998 – CY
2001 – Echoes of Techno
2003 – Early Music
w.ミック・グッドリック
1996 – In The Same Breath
2009 – Live at the Jazz Standard
w.レベッカ・バッケン
2000 – Daily Mirror
2002 – Beloved
w.ブライアン・ブレイド
2007 – Friendly Travelers
2008 – Friendly Travelers Live
w.ラルフ・タウナー、スラヴァ・グリゴリアン
2008 – From a Dream
2013 – Travel Guide
発言
音楽観
準備中
好きな音楽
ミック・グッドリックについて
「自分にとって素晴らしい先生だったのは言うまでもないことなんだけど、ことのほか相性が良かった。彼にとっても自分は適切な生徒というと変だけれど特別だったみたいだね。その証拠にバークリーを卒業してニューヨークへ移った後も度々一緒に演奏している。とにかく自分では師弟を超えた深い関係だと思ってる」(Jazz Guitar Book 36)
ゲイリー・バートンについて
「(バートンとの共演で得たものは)明確に演奏することだね。メリハリを持たせ、何を表現したのかに焦点を合わせる。例えばソロでも、限られた小節数の中でどれだけ自分の言いたいことに焦点を当てて演奏できるか。そういったことの大切さを学ばせてもらったと思う」(Jazz Guitar Book 27)
影響を受けたギタリスト
エレクトリック・ギターはパット・メセニー(最も好きな作品は『80/81』、次いで『Rejoicing』)、アコースティック・ギターはラルフ・タウナー(Jazz Guitar Book 36)
評価
ポール・モチアン
「(ムースピールは)ミック・グッドリックの推薦だった。(略)彼はヴァイオリンも弾けたので、バンドに更なるものをもたらしてくれた。あれはとても興味深かった。素晴らしいプレイヤーだよ」(Jazz Guitar Book 29)
楽器
2013年来日時のセットアップ
クラシック・ギターはジム・レッドゲイト、エレクトリック・ギターはドメニコ・モッファ製作。エフェクターは、コルグのPitchblack+ベダルチューナー、デジテック製ルーパー、フレーズサンプラーのJamMan Stereo、MXR製アナログ・ディレイのCarbon Copy、エレクトロ・ハーモニクス製Superego Synth Engine。コルグのクロマチック・チューナーも使用している。(Jazz Guitar Book 36)
出典
雑誌
Jazz Guitar Book 27 by 高梨 学
Jazz Guitar Book 29 by 石沢功治
Jazz Guitar Book 36 by 石沢功治