コリン・ヴァロン/Colin Vallon

シェアする

コリン・ヴァロンはスイス在住のピアニスト、作曲家。レディオヘッドのようなロックやヨーロッパ/アジアの民族音楽に影響を受けた楽曲に、ミニマルで反復的なインプロヴィゼーション、ピアノトリオのメンバーそれぞれがせめぎ合うグループ・アンサンブルが特色。

コリン・ヴァロン 来日インタビュー|新世代ピアノ・トリオのバックボーンを語る

バイオグラフィー

1980年11月17日スイス、ローザンヌに生まれる。母親は教会のオルガン奏者。

幼い頃からピアノに触れ、10歳からクラシック音楽のレッスンを開始する。しかしそれまで曲を耳で覚えて演奏していたため、読譜に違和感を感じ2年間で辞退。ジャズが好きな叔父の影響もあり、ジャズやブルースを演奏するようになる。

18歳の時に初めて自身のトリオを結成。当初は当時のアイドル、キース・ジャレット、ブラッド・メルドーのようにスタンダード中心のレパートリーを演奏していた。その後、徐々にオリジナル曲中心に移って行き、デビュー以降はオリジナル曲、バンドメンバーの楽曲、トリオの共作(主にフリー・インプロヴィゼーション)を演奏するようになる。音楽大学卒業後、2004年にデビュー作『Les Ombres』をリリースする。

その後、トリオのドラマー、サミュエル・ローラー/Samuel Rohrerの紹介でマンフレート・アイヒャーの目に止まり、ECMレーベルに移籍。2011年にはコーカサス地方の音楽を題材にした『Rruga』を発表する。

さらに2014年には友人の死をきっかけに生命の終わりや時間の移ろいをテーマにした『Le Vent』を、2016年には前作と対称的に生命の豊かさをテーマにした『Danse』をリリース。こちらの2枚ではプリペアド奏法の得意なドラマー、ジュリアン・サルトリウス/Julian Sartoriusが新たに加入している。

師事歴
時期 学校・機関 教育家 主な内容
10代前半 不明 不明 クラシック
14歳~ 不明 Marc Ueter ジャズ・ピアノ
18歳~ Swiss Jazz School Silvano Bazan
William Evans
Manuel Bärtsch
Bert Joris
ジャズ・ピアノ
  • スイスのベルン芸術大学、the Haute Ecole des Artsで教鞭をとっている(2017, 24 heures)
  • アルバニア出身のジャズ・シンガー、エリーナ・ドゥニのグループでも2004年から00年代半ば頃まで活動していた。バルカンの伝統音楽のカバーなど、ルーツに根ざしたレパートリーはヴァロンのアドバイスによるもの。(2016, CDjournal

作品

リーダー作

リリース年 タイトル レーベル レビュー
2004 Les Ombres Unit Records
2006 Ailleurs hatOLOGY
2011 Rruga ECM 北澤
2014 Le Vent ECM 佐藤
2017 Danse ECM よろすず
佐藤

サイドマン作品

発言

音楽観

ヴォイス、声について

「常に僕はヴォーカル・ミュージック、特にコラールに一番心を動かされてきた。声ほどダイレクトに心の中に入っていく楽器はない。声は最も直接的で、音色的にリッチで、独特なサウンドのする楽器だ。そのクオリティはピアノで再現することは難しい。僕の考えでは、パーソナルな音を維持するために、ピアニストは常に他の楽器やサウンドを心の中で思い浮かべる必要があると思う」(2014, Jazz Views: I have always been moved…a personal tone on the piano. )

好きな音楽

好きな音楽家・作品
時期 ジャンル 音楽家・作品 出典
幼少期~10代
ブルガリア音楽 Le Mystere Des Voix Bulgares
2014, Jazz The New Chapter
ルーマニア音楽 ゲオルゲ・ザンフィル
アフリカ音楽 ダラー・ブランド『African Piano』
レディスミス・ブラック・マンバーゾ
ロック ビートルズ、ニルヴァーナ
ヒップホップ サイプレス・ヒル
2014, Jazz Views
ジャズ オスカー・ピーターソン『Tracks』、エロル・ガーナー、ビル・エヴァンス
2014, Jazz The New Chapter、2014, Jazz Views
2010年代
現代音楽 モートン・フェルドマン、ジェラード・グリゼー、ゲオルク・ハース
2014, Jazz The New Chapter
クラシック バッハ『フランス組曲』
ジャズ ジャンゴ・ラインハルト
  • ヨーロッパの伝統音楽ではバルカン音楽、スカンジナヴィア、アイルランドの歌曲が好き。同時代のミュージシャンではレディオヘッド、トム・ヨーク、ビョーク、ワイルドバーズ&ピースドラムス、ウォーペイント、ジェイムス・ブレイク、オウテカ、ニルヴァーナが好き。(2014, Jazz The New Chapter)
  • 好きなジャズ・ピアニストはレニー・トリスターノ、オスカー・ピーターソン、ビル・エヴァンス、キース・ジャレット、アーロン・パークス、ブノワ・デルベック。好きなサックス奏者はアンディ・シェラー、ジョン・コルトレーン、デューイ・レッドマン、マイケル・ブレッカー。好きなシンガー・ソングライターはボブ・ディラン、レナード・コーエン、トム・ウェイツ。(2017, Liberation)

影響源

民族音楽について

「僕ら3人は手垢のついていないサウンドや音楽における夾雑物、マイクロトーンの不協和などに惹かれる点で一致している。ご存知のようにそれは東洋の、クオーター・トーンのあるアラビア音楽や日本の雅楽、形式化されたスケールの無いインドのラーガに由来している。(ただ)それらアジアからの影響は(プリペアド・ピアノのような)スタイルと言うよりも、サウンドに結びついているんだ」(2015, Ticket: The three of us are…less to the style.)

  • ピアニストでは、ビル・エヴァンス、キース・ジャレット(ここまで2016, ARBAN)、セロニアス・モンク、クリスチャン・ヴァルムルー、エロル・ガーナー、ポール・ブレイ、菊地雅章、ボボ・ステンソン、クレイグ・テイボーン、ジェイソン・モラン、ヴェラ・カッペラー、ブノワ・デルベック(カッペラー、デルベックからはプリペアド・ピアノを弾く上でも影響を受けている)。ヴォーカリストではニーナ・シモン。(2014, Jazz The New Chapter)

出典

雑誌

(2014) Jazz The New Chapter by 小林栄一

ウェブサイト

(2014) Jazz Views
(2015) Ticket
(2016) ARBAN by 熊谷美広
(2017) Liberation by Bruno Pfeiffer

おすすめ作品