ギジェルモ・クレイン / Guillermo Klein

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ギジェルモ・クレインは1969年アルゼンチン生まれの作曲家、ピアニスト、ヴォーカリスト。ジャズ、南米音楽、アフリカ音楽、クラシック、ミニマル音楽などに影響を受けた11ピースのアンサンブル、ロスガチョスのバンドリーダーとして知られている。

ロスガチョスは1994年の結成以来、ベン・モンダー、クリス・チーク、ビル・マクヘンリー、ミゲル・セノン、ジェフ・バラードなど様々な有力ミュージシャンが在籍。ポリリズムや芳醇なハーモニーを活かした音楽性はミゲル・セノンやディエゴ・スキッシなど後進のヒスパニック系の作曲家を中心に多大な影響を与えている。

バイオグラフィー

デビューまで
1969年12月6日、アルゼンチン、ブエノスアイレスに生まれる。11歳の時に、父親にピアノの練習を開始。同時にアストル・ピアソラに触発されて作曲も始める。10代の頃はいくつかの音楽学校に在籍するが、一方でビートルズ、ローリング・ストーンズなどのカバー・バンドにも熱中していた。

21歳の時、師事していたクラシック教育家の勧めでアメリカのバークリー音楽大学に入学、クラシックを専攻する。同級生に影響されてジャズへの興味強くなり(特にウェイン・ショーターの作曲に魅せられる)、ジャズ作曲家に転向。デューク・エリントンやギル・エヴァンスの作曲法を学ぶ。また、クレインと同時期にアルゼンチン/南米からやってきた仲間と共にラージ・アンサンブル「ビッグヴァン」を結成して活動していた。

師事歴
時期 学校・機関 教育家 主な内容
10代後半 Conservatories of Thibald Piazzini 不明 ドビュッシー、ストラヴィンスキー
Conservatories of Manuel de Falla 不明
Catholic University of Music in Buenos Aires
不明 Sergio Hualpa 対位法、作曲法
Claudio Rodina、Adriana de los Santos ピアノ
21-24歳 バークリー音楽大学 ハーブ・ポメロイ デューク・エリントン
ジェフ・フリードマン ギル・エヴァンス
ハル・クルック 不明
25-?歳 個人レッスン カルロス・フランツェッティ アストル・ピアソラ、アルベルト・ヒナステラ

1994年、ニューヨークに移り住む。同年開店したスモールズのオーナー、ミッチ・ボーデンと知り合い、毎週日曜日に演奏する機会を得る。学生時代のグループ、ビッグヴァンはメンバーを11人にまで絞り、新たに「ロスガチョス」として活動を開始する。90年代後半には、スモールズよりも大きいクラブ、ジャズスタンダードのマンデーナイト・セッションにも登場するようになる。

2000年、アルゼンチンに同郷のミュージシャンRichard Nant, Juan Cruz de Urquiza, Ernesto Jodosらとともに帰郷。翌年からブエノスアイレスのジャズクラブ、セロニアスを拠点に活動する。しかし2002年にアルゼンチンで経済危機が起こったことをきっかけにスペイン、バルセロナに拠点を移す。以降現在までアメリカ、アルゼンチン、スペインを飛び回りながら活動している。

10年代後半には再びニューヨークに住み、ヴォーカリスト、レベッカ・マーティンとのプロジェクト「The Upstate」を起ち上げる。

参考:All About Jazz Guillermo Klein

作品

ギジェルモ・クレイン&ビッグヴァン
1994 – El Minotauro

ギジェルモ・クレイン&ロスガチョス
1999 – Los Guachos II
2002 – Los Guachos III
2004 – Live in Barcelona
2008 – Filtros 
2012 – Carrera
2016 – Los Guachos V

ブエノスアイレス・シーンとのプロジェクト
2005 – Una Nave
2010 – Domador de Huellas: Music of “Cuchi” Leguizamon

ギジェルモ・クレイン・クインテット
2014 – Live at the Village Vanguard

コラボレーション

w.アーロン・ゴールドバーグ
2009 – Bienestan

w.レベッカ・マーティン
2017 – The Upstate Project

評価

リード・アンダーソン(ベーシスト)
ジャズクラブ・スモールズで聴くことができた素晴らしい体験の中でも、特に感動的で重要だったのは、ギジェルモ・クレインがロスガチョスと演奏していた夜だ。それまでに聴いたことがない音楽だった。荘厳であるにもかかわらず親密で、彼の音楽はとてもディテールに富んでいた。リズムと対位法的な力強さを掛けあわせながらも、同時に純粋なメロディックな楽しさからくる高揚があった。彼はビッグバンドのための曲を書いたがそれはいわゆるビッグバンド・ミュージックではなかった。ラテンアメリカのフォークロアやジャズと同じように、ストラヴィンスキーやバッハからポップミュージックまで自由にアイディアを引き出していた。(2006, Do The Math)

出典

ウェブサイト

(2006) Do The Math by Reid Anderson

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