音楽ファンの選ぶ2018年ジャズ 12選|パート3

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今回は2018年最後の新譜ジャズ特集をお送りします。

3回目のレビュワーは電子音楽の制作と同時に音楽ライターとしても活動しているよろすずさん、バンドTAMTAMのドラマーでTwitter上の音楽紹介も好評な高橋アフィさん、ミュージック・マガジンなどでジャズやブラックミュージックを中心に書いている佐藤 悠さん、音楽サイト「モトラブ」でUKジャズや南アジャズなどを紹介しているニーラカーニャさんにお願いしまいた。

何かと空き時間も多い年末年始、各レビュワーの選りすぐりの作品をチェックしてみてはいかがでしょうか?

※アルバムアートをクリックすると、販売ページにジャンプします。
※音源の音量にご注意ください。

Tyshawn Sorey / Pillars

Firehouse 12 Records (2018)

Stephen Haynes (tp, flugelhorn, cornet) Ben Gerstein (tb) Todd Neufeld (g) Joe Morris (b, g) Carl Testa, Mark Helias, Zach Rowden (b) Tyshawn Sorey (conductor, ds, per, tb, dungchen)

主にドラマー/作曲家として活動するタイショーン・ソーリーの作品。これまでも長時間の切れ目のない演奏が目立ち、二枚組のアルバムも発表するなど大作指向の強かった彼だが、本作もそれぞれ70分超の3つのトラックからなるトータル3時間半、CD三枚組に及ぶ長大な一作。

編成も管楽器奏者2名、コントラバス奏者4名(うち1名はギターを、他の1名はエレクトロニクスを兼任)、ギタリスト1名、そして打楽器類の他に管楽器の演奏や指揮も行う自身を加えたオクテットという特異なものだが、終始全員が演奏に参加するのではなく場面によってソロやデュオなど人数や楽器の組み合わせは変化し、演奏の内容もそれに応じて完全にフリーな即興から特定の音の反復や持続に焦点が当てられた明確なディレクションが伺えるものまで幅があり、様々なグラデーションで即興と作曲の溶け合いが提示される。

収録された三篇からはメロディやリズムを書く作曲の域だけでなく、メンバーの音楽性を理解しそれを即興という方法の中で随時様々なパターンで重ね合わせながら見守るような、より巨視的な視点から音楽をコントロールしようとするタイショーンの意図も伺え、演奏者個々が自由に振る舞えるスペースを確保しつつひと続きの演奏の中で展開や音楽的起伏を生み出すために演奏者、作曲者、そして(演奏者の振る舞いに即時的に関わっていく)指揮的役割など様々な階層から音楽に携わるそのバンドリーダーとしての巨大な存在感が音楽全体を包み込んでいる。

もちろんそういった音楽への関与の仕方だけでなく演奏自体も刺激的なものとなっており、特にドゥンチェン(チベット音楽に用いられる管楽器)やコントラバス4本から生み出される低音に比重を置いたドゥーム・ドローン的なサウンドや、タイショーンにとっては盟友といえるトッド・ニューフェルド、ベン・ガースタインとの緊密な演奏は聴きどころだ。(よろすず)

Daniel Santiago / Union

Adventure Music (2018)

Daniel Santiago (g, vo, synths, keys)

with Shai Maestro (p) Frederico Heliodoro (b) Rafael Vernet (key) Thiago Rabello, Antonio Loureiro, Renato Galvão (ds) Ricardo Braga (per) Gregoire Maret (harmonica)

ギターをメインにヴォーカルや鍵盤楽器なども操るブラジルの音楽家ダニエル・サンチアゴの作品。カート・ローゼンウィンケルの2017年作『Caipi』への参加で注目を集めたペドロ・マルチンスや、本年リリースのアルバムも大きな話題となっているアントニオ・ロウレイロなど、近年多方面で名前を耳にする音楽家が多く参加した注目作だ。

アルバムはブーミーな音色も用いたシンセワークとコンプの効いたクッキリした鳴りのドラムが音楽の中核を成し、その上に柔らかな音色のギターとハミングが乗る①Caminhadaがまず鮮烈。他のトラックにおいてもタイトな印象のシンセとドラムに対しギターと声はまるでゆったりと泳ぐような余裕のあるタイム感を感じさせ、拍感の強く出たミックスでありながらも同時に浮遊感を感じさせるアルバム全体の音楽性を決定付けている。チアゴ・ハベーロの次々にアプローチが切り替わるような巧みなドラミングが堪能できる③Mudanca、フレデリコ・エリオドロのファンキーなベースが耳を引く⑧Eterno Recomecoなども聴きどころ。

参加メンバーの重複だけでなく、聴けば聴くほどに味が出るような練られた作編曲を最大の魅力としつつもそういった作り込みが決して神経質な印象を与えず、即席で作られたような身軽な聴き心地と演奏の躍動感も同時に有しているという点でも『Caipi』と同じ地平を望む音楽といえるだろう。(よろすず)

Jeremiah Cymerman / Decay of the Angel

5049 Records (2018)

Jeremiah Cymerman (clarinet, per, electronics)
NYを拠点にクラリネット奏者、サウンドアーティスト、レコーディングエンジニアなどとして活動するジェレマイア・サイマーマンの作品。彼は僧院でインド音楽にふれあいながら育ち、エレクトリックベースの演奏やメタルやハードコアのバンドから音楽活動をスタート、後にクラリネットを始め更に専門学校でオーディオエンジニアリングを学んだという変わったキャリアの持ち主で、レコーディングスタジオを主要な作曲ツールとして扱い、クラリネットの即興演奏と電子的な操作やプロダクションを拮抗させたスタイルでアルバムを制作している。

本作においてもクラリネットの演奏を中心に据えながら、多くの時間でそこに空間系から音響をノイズ化するような過激なものまでの多様なエフェクトやオーバーダブ、クラリネットでカバーできない低い音域の電子音などが加えられ、個人の音楽家としての足取りがつぶさに反映されたドゥーミーで荘厳な世界観を描き出している。表面的な音楽の形式こそ異なるが、インダストリアルな響きの扱いやアコースティック楽器だけでは引き出すことの難しい音域までを含めたサウンドメイクは同年のラフィーク・バーティア『Breaking English』に通じるものがある。アブストラクトな即興演奏の形態を維持しながらここまで空間や景色を色濃く想起させる作品は珍しい。作家としてのヴィジョンの確かさが伝わる一作だ。(よろすず)

Trio Heinz Herbert / Yes

Intakt Records (2018)

Dominik Landolt (g, effects) Ramon Landolt (synths, samples, p) Mario Hänni (ds, effects)
ともにスイスの音楽家である鍵盤奏者のラモン・ランドルト、ギタリストのドミニク・ランドルト、ドラマーのマリオ・ハンニによる”トリオ・ハインツ・ハーバート”の作品。

ミニマルなフレーズの反復を基調としたクラブ・カルチャーとの親和性を感じさせるダンサブルな音楽性とフリーハンドな即興を巧みに溶かし合うような演奏が持ち味のユニットで、更にメンバー全員が(シンセ、サンプラー、エフェクトなど)何らかの手段で電子的な発音を駆使することでジャケットのイメージに通じる彩り豊かなサウンドを聴かせてくれる。グラニュライズ・エフェクトなどを用いたトリッキーな音色の使用も、他のエフェクトの種類や度合の異なる“器楽的サウンドと電子的サウンドの境界”に位置するような音色がブリッジ的に機能することで音楽の中に悪目立ちすることなく溶け込んでいる。

中でも①Jと⑥Silo Partikelはグリッチ・エレクトロニカとミュージック・コンクレートとヒップホップ以降のビート・ミュージックがリアルタイムの演奏でミックスされていくような名演。エフェクティブな音色をリズムなどの楽曲のフレームに当てはめ過ぎず即興的に音を重ねていくようなアプローチで進む場面も多いが、それを気難しく聴こえさせず微かにグルーヴの発生や余韻を忍ばせる手つきやバランス感覚が素晴らしい。(よろすず)

Braxton Cook / No Doubt

Braxton Cook Music (2018)

Braxton Cook (as, vo, fl, keys) Andrew Renfroe (g) Taber Gable (p, rhodes) Mathis Picard (keys) Henoc Montes (eb) Jonathan Pinson (ds) Lauren Desberg (vo) Orlando Watson (spoken word)
サックス奏者であり、ソングライターであり、ヴォーカリスト。またクリスチャン・スコットやマーキス・ヒルのグループへの参加から、若手SSWであるトム・ミッシュのサポートと活動範囲も幅広い。その多様にも思える要素を瑞々しい感性でまとめあげたのが本作だ。

現代のジャズは勿論、ラップやR&B、またエレクトロやインディ・ロックの影響すらも感じさせるが、雑食性というより自然と音楽性が溶け合った風通しの良い演奏が素晴らしい。②When You Hold Meのビートの太さとリズムの自由度の共存、エレクトロに作り込まれたトラックにジャズ・ギターやピアノは勿論サックスを溶け込ませた⑦Wish You Wellなど、各メンバーのフレーズや音色のセンスの良さが鍵だろう。

ギターのエフェクター使い、重心の低いバスドラもそうだが、特に声の重ね方とエフェクト処理(左右に広げるコーラスの配置が素晴らしい、ヘッドフォンおすすめ)は、現行R&Bに引けを取らない音色/ミックスへのこだわりを感じる。しかし最大の特徴は、歌として素晴らしいメロディが作れるソングライティングだ。数少ないストレートなジャズ曲、⑧Lost Onesの美しさがハイライト。(高橋)

Jacob Mann Big Band / Greatest Hits Volume 2

920838 Records (2018)

Max Bryk, Stephen Taylor, Amber Navran, Rachel Mazer, Tim McKay (sax) Mitchell Cooper, Gabe Martin, J.J. Kirkpatrick, Andris Mattson (tp) Erik Hughes, Vikram Devasthali, Jonah Levine, Jake Kraft (tb) Jamey Arent (g) Jacob Mann (synths) Sam Wilkes (b) Louis Cole (ds)
KNOWERのバンド編成等でも活躍する、LAを拠点とするキーボード奏者のビックバンドの2nd EP。ドラムはルイス・コール、ベースにサム・ウィルクスとKNOWERバンドのメンバーが、またムーンチャイルドの面々がブラスセクションで参加と話題に事欠かないが、注目はジェイコブ・マンのヴェイパーウェイヴ的なセンスがビックバンドとして、しかも真っ当にカッコ良いものとして表現されている点だ。時代感のあるシンセやローファイさに焦点が当たることが多いヴェイパーウェイヴだが、本作では楽譜/楽曲的な特徴を強調している。特にゲーム音楽の要素が強いだろう。

その結果、(今までの)「演奏」という観点からは不自然にも聞こえるが、それゆえ新しく魅力的な奇妙な音楽となった。MIDIのような非常にタイトなブラスセクション、コロコロとメインパートが変化するアンサンブル、複雑なコード進行と展開、軽妙で浮遊感のある楽曲など、ヴェイパーウェイヴのファンキーでジャジーな側面がギチギチに詰め込まれている。これを生々しくも面白く演奏できるメンバーがいる所に、現在のジャズ・シーンの凄さも感じる。(高橋)

Rotem / My Favorite Monster

Aima Records (2018)

Rotem Sivan (g) Chris Gaskell (b) Nathan Ellman-Bell (ds)

イスラエル出身のギタリストの5thアルバム。前作までは、やや地味ながらもギターの繊細さを生かした良質なジャズを演奏していたのだが、本作で一変。名前もロテム・シヴァンから”ロテム”へと変更し、カラフルでエモーショナルなアルバムとなっている。

ロックやプログレの影響も感じさせる①Indian Ocean、ドラムンベース〜ビート・ミュージック的な③My Favorite Things Ft. Cliche、ダブステップのようなリズムの⑧Darling、などジャズ以外の要素も多く入り、全体的に演奏のテンションも高くパワーのある楽曲となっているが、一貫して繊細な演奏を続けるロテムが素晴らしい。ギターの旨味を残しつつ周りの演奏がアップデートされている、あるいはどんな音楽もギターで乗りこなす、不思議な作品。マッチョかつひょろひょろな音像というか、パワーと繊細さを共存させたのは、演奏は勿論ながらミックスの妙もあると思う。ちなみにMVはアニメ「競女」を加工した謎の作り。そのバランス感がわからないセンスこそ本作のポイントなのか?(高橋)

Moses Boyd / Displaced Diaspora

Exodus (2018)

Moses Boyd (ds) Nubya Garcia, Kevin Haynes (sax) Joe Armon-Jones (keys) Nathaniel Cross (tb) Theon Cross (tuba) Zara McFarlane, Terri Walker, Louis V1(vo)
ロンドン出身のドラマー、モーゼス・ボイドの第一作。基本的にはジャズのフォーマットで、アフロビートやカリブ、ヒップホップやテクノなど様々なリズムを生ドラムで表現。

チューバが高速のベースラインを吹き鳴らし、インタープレイを繰り広げる②Frontlineを始めに、ベースの代わりにチューバを用いることでニューオーリンズ・ジャズの印象がもたらされている。反対に⑨Ancestorsではシンセベースを使用し、ヨルバ語のアフリカ民謡とエレクトロニクスを融合。西インド諸島からの移民の第二世代という出自を感じさせる複雑な音楽性だ。⑤Axis Blueや⑥City Nocturneでの管楽器アンサンブルのカラフルな音使いや、ソウルフルな歌声を管楽器とギターが巧みな伴奏で支える⑧Marooned In S.E.6にも注目したい。(佐藤)

Federico Arreseygor / Todonosepuede

Dr. Parnassus (2018)

Federico Arreseygor (p, key, vo) Omar Gomez (b, eb) Mariano Cantero (ds, per)

with Cintia Coria, Ezequiel Ortiz, Pedro Aznar (vo) Marina Arreseygor (cellos) Pablo Palleiro, Esteban Alvarez, Nacho Alvarez (cuerda de candombe)

アルゼンチン出身のピアニスト、フェデリコ・アレセイゴルの第三作。ベースとドラムを加えたトリオ編成の演奏はタイトで切れ味鋭く、リフの反復を中心に展開するスリリングな②Inviernoや、中盤でキメを連発する⑥Lugarなどはプログレ的で、ティグラン・ハマシアンを想起。

全編で自らの歌声を聴かせているが、チェロの旋律が歌の情感を高める④Devenirや、胸を掻き毟られるように切ない⑤Trajoのメロディは、作品の中心となる存在感を放っている。3人のパーカッションによるカンドンベのリズムを導入した⑧Candombe del ayerは、女性ヴォーカルが歌うポップなメロディにブラジル音楽の影響が感じられるのが面白い。⑦Linoでのペドロ・アスナールの丸みを帯びた優しい音色のベースソロも印象的だ。(佐藤)

Ray Angry / One

JMI Recordings (2018)

Ray Angry (p, keys) Ambrose Akinmusire (tp) Myron Walden (reeds) Derrick Hodge (b) Eric Harland (ds)
レイモンド・アングリーは、ジョス・ストーンやローリン・ヒル、エスペランサ・スポルディングにディアンジェロ、ザ・ルーツといった人気アーティストのライブやスタジオレコーディングをサポートをするベテランピアニストです。おそらくロバート・グラスパーと同世代。ハワード大学時代にジェリ・アレンとマルグリュー・ミラーに師事し、2001年にNYに進出。ミシェル・ンデゲオチェロやクエストラブとセッションを重ね、プロデューサーを務めたThe Rootsのアルバム「Undun」がグラミーにノミネートされるなど、NYのヒップホップシーンで活躍するミュージシャンとして頭角を現していきます。

売れっ子ミュージシャンとして忙しく世界を飛び回る一方、その合間を縫ってジャズギャラリーやブルーノートへ出演し、ジャズミュージシャンとしてのキャリアも積み上げていき、その成果の一端は、2015年にリリースされたRevive Musicのコンピレーション「Supreme Sonacy Vol. 1」で披露されます。

本作は、もう既に「ミスターゴールドフィンガー」の名声を獲得したピアニストによる遅すぎるデビューアルバムであり、2000年代から2010年代にかけて成長していったロバート・グラスパー以降のジャズ、言い換えるとRevive Musicシーンの成熟を示す一枚です。
参加メンバーは、ベースにデリック・ホッジ、ドラムにエリック・ハーランド、フロントにアンブローズ・アキンムシーレとマイロン・ウォルデンの2管クインテット編成。

アルバムはクラシックの素養を感じさせる美しい響きのピアノのオープニングから始まります。②Number One Loveは時代に刻印を残したグラスパーを思わせるサウンドで幕を開け、アンブローズのソロで徐々にノッてきたメンバーが思わずあげるホゥーッという声も楽しい、リラックスしたグルーブからギアアップの予感を残して進む好ナンバー。日本だと河野祐亮ピアノトリオが得意とするようなサウンドです。レディヘ派ではなくビョーク派であることを伺わせる⑤Bjork Cityとカバー⑩All Is Full of Loveも印象的。(ニーラカーニャ)

Justin Kauflin / Coming Home

Justin Kauflin Music (2018)

Justin Kauflin (p, keys) Chris Smith (b) Corey Fonville (ds, per) Alan Parker (g)
ジャスティン・コフリンは1986年生まれのアメリカのジャズピアニスト。11歳の時に視力を失いますが、15歳の時にはもうプロミュージシャンとして活動するほど若くから音楽の才能を発揮しています。大学時代に、ハロルド・メイバーン、マルグリュー・ミラー、ジェームス・ウィリアムスに師事。クラーク・テリーやクインシー・ジョーンズのドキュメンタリー映画への出演や、ジェイコブ・コリアーがゲスト参加した前作「Silent Night」が話題になりました。2015年のRevive Musicの記事「6 Young Pianists You Should Know About (あなたが知るべき6人の若きピアニスト)」で、ジェイムス・フランシーズやジュリアン・ショア、ミロ・スプラーグといった名前と一緒に記憶している方も多いかもしれません。

本作はジャスティン・コフリンの4枚目のリーダーアルバム。ケンドリック・ラマー「To Pimp A Butterfly」への参加や(U)NITYでの活動で知られるベーシスト、クリス・スミスや、クリスチャン・スコットのバンドで大活躍するドラマー、コーリー・フォンヴィルを迎え、加えて数曲でギタリスト、アラン・パーカーが参加しています。初期ブッチャー・ブラウンのリズム隊を揃えたピアノトリオ編成の曲が特に刺激的で、ビートミュージックとして聴けるピアノトリオとして抜群に機能します。ロバート・ハーストの「Unrehurst vol.2」を彷彿させる、デリック・ホッジ作曲のクールなグルーブ⑩Somethin’ Somethin’が出色。(ニーラカーニャ)

Rocket Men / Twerk & Travel in Space

Jazzlab (2018)

Philipp Püschel (tp, flugelhorn) Lasse Golz (sax, fl, b-cl) Valentin Mühlberger (wurlitzer, synths) Paul David Heckhausen (synths, electronics) Bertram Burkert (g, b) Felix Dehmel (ds)
ドイツ・ハンブルグを拠点に活動するジャズコミュニティ「Jazzlab」。音楽レーベルとライブイベントの主催を行なうJazzlabは、ハンブルグの”Jazz re:freshed”と例えるのがイメージし易いかもしれません。月1回のペースで開かれるライブには、過去にビンカー&モーゼス、ギラッド・ヘクセルマン、ロテム・シヴァンといった名だたるジャズミュージシャンが出演。国際的に活躍するジャズミュージシャン以外にも、ジョン・ホレンベックと共演し、ジム・ブラックやワンジャ・スラビンのバンドへの参加で注目を集めるベーシスト、ベルンハルト・マイヤー/Bernhard Meyerなど、ドイツ国内のミュージシャンにも活動の場を提供しています。

そんなJazzlabを主催するメンバーによるバンドが、この”Rocket Men”です。トランペット、サックス、鍵盤、エレクトロニクス、ギター兼ベース、ドラムのセクステット編成。アメリカのRevive Musicシーンが華開く前夜、ウェストコーストファンクやヒップホップ、ネオソウルの歌を素材に夜な夜なセッションが繰り広げられたそうですが、ドイツ・ハンブルグの場合出てくる鼻歌はD’n’Bやダブテクノ、ビートミュージック、ゲーム音楽といったところでしょうか。バンドメンバーはまだ全員20代半ばぐらいだそうで、今後楽曲と演奏の弾力性が増していった時にどんな音楽を奏でているのか楽しみです。お薦めはスペーシージャズファンク②Apollo 13、グローバルダブ③Rio Doce、ベーシーな④spaceFM、後半に顔を出すゲーム音楽から引っ張ってきたようなダサマーチがファニーな⑧Kaleidoskop。(ニーラカーニャ)